人手不足の原因は、あなたの会社にある?データで見る原因と対策を解説

「長く働いてくれている社員が定年間近だが、後継者となる人材がいない。」
「せっかく採用した人も、一人前になる前に辞めてしまう。」 
「引き合いはあるのに、人手不足で受けられない仕事がある」 
特に、中小企業の経営者・人事担当者や、小規模事業者は、人手不足を感じることが年々多くなってきているのではないでしょうか。 

そもそも人手不足の原因はどこにあるのかを改めて認識し、より効率的な対策の検討に繋げるため、今回は、統計データも交えながら、具体的アクションのきっかけとなるように解説をしていきます。

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目次

  1. 1. あなたの会社は大丈夫?データで見る「人手不足」の誤解と現状

  2. 2. 「1日8時間×週5日働ける、男性」ばかりになっていないか

  3. 3. 古いままの労働条件や労働環境では魅力を感じられない

  4. 4. 「え?また人が辞めていく?」
    企業規模が小さいほど退職率は高い

  5. 5. まとめ:
    必要なのは、欲しい人材に選ばれる会社になること

あなたの会社は大丈夫?データで見る「人手不足」の誤解と現状

なんとなく人手不足を感じているものの、それは自分たちだけのものなのか、他の会社も同じように苦労しているのか、気になる経営者、担当者の方は多いのではないでしょうか?結論から言うと、過度に悲観する必要はなく、しっかりと対策を講じれば欲しい人材を確保することは難しいことではなさそうです。

まずは、公的機関が調査しているデータなどを参照して、客観的な視点で現状を確認してみましょう。

労働力人口の推移:女性や高齢者が働くようになり意外にも増加傾向

仕事をしている人や働く意思があり求職中の人(=労働力人口)がどのくらいいるのかを確認することから始めます。

※労働力人口とは?・・・15 歳以上の人口のうち,「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの 

労働力人口の推移

出典:「平成30年(2018年)平均(速報)結果の概要」(総務省統計局)

少子高齢化社会と言われている現代、人口が減少することが危惧されていますが、意外にも労働力人口は、近年増加し続けているのです。労働人口という視点では、直接的な課題ではないと捉えることができるのではないでしょうか。 

労働力人口の推移(男女別)

出典:「平成30年(2018年)平均(速報)結果の概要」(総務省統計局)

特に男女別にみると、女性の増加が顕著です。女性の社会進出が進んでいることがみえます。
 また、年代別に2011年の労働人口を1とした場合の増減率をみると、65歳以上の高齢者が格段に増加しています。定年退職後も働きたいと考えている方が増えているようです。 
ここで分かるのは、労働力人口として「女性」や「65歳以上」の方たちの数は年々増えているということです。

年代別労働力人口増減率の推移

平成30年(2018年)平均結果の概要(総務省統計局)をもとに作成 

企業規模別の求人数と雇用数:小さな会社ほど、人材確保が難しい

次に、企業が求めている人材の数と雇用している数について、企業規模別の違いを確認してみます。特に中小企業の経営者、ご担当者は注目してください。

中小企業庁が発行している『中小企業白書』にあるデータをみると、従業者規模が29名以下の企業において、雇用者数が年々減少しているのに対し、求人数が急増している状況から、特に雇用の確保が難しい状況に置かれていることが分かります。いわゆる中小企業の場合、人手不足感があるのはデータからも事実なのです。

従業者規模別非農林雇用者数の推移

出典:2019年版「中小企業白書」 第一部第4章(中小企業庁)より

事業所規模別新規求人数の推移

出典:2019年版「中小企業白書」 第一部第4章(中小企業庁)より


職業別の求人倍率ランキング:建設業界/介護・福祉業界の苦しさが顕著

最後に、特に有効求人倍率が高い職業をランキング形式でご紹介します。 全体の有効求人倍率は1.62倍であることを鑑みると、職業ごとに人材確保のしやすさに大きな差があることが分かります。
※有効求人倍率とは?・・・有効求人数を有効求職者数で割ったもの(つまり、働きたいと思っている求職者1人に対して、企業からの求人の数が何件あるかを示しています) 

高求人倍率の職業別ランキング

出典:(厚生労働省)一般職業紹介状況(令和元年5月分)
職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))

特に建設業界/介護・福祉業界の人手不足は、他の業界に比べて大きな課題となっているようです。 逆に有効求人倍率が低い職業として代表的なのは、一般事務や美術家/デザイナー、船舶・航空機運転で、いずれも0.5倍未満となっています。 

では、働きたい人は増えているにも関わらず、企業規模や業界によっては深刻な人手不足に陥っているのは何故なのでしょうか。次のパート以降で、確認すべきいくつかのポイントを挙げて解説します。


「1日8時間×週5日働ける、男性」ばかりになっていないか

今、あなたの会社にいる従業員を見回してみましょう。 フルタイム勤務の方ばかりになっていませんか? 残業が必要になったら比較的容易に対応してくれる方ばかりではありませんか? 

たとえ、いま働いてくれている従業員の方々は、フルタイム+残業に対応できる方ばかりだったとしても、会社として人手不足に陥っているのであれば、その点へのこだわりを考え直すことも重要でしょう。 短時間労働者を受け入れられるよう、制度を導入したり、業務を細分化したりすることで、人材確保に繋がる可能性が高まります。 

冒頭で確認したデータを思い出してください、働きたいのに働けていない女性やシニア層を視野に入れることが、人材確保の一つのヒントになることでしょう。

子どもを持つ女性を中心として実施された調査結果として、下記のようなものがあります。出産を機に正社員の仕事を手放した女性のうち6割が、働きたかったのに働けなかったと回答しています。 

出産を機に仕事を辞めたいと思っていたか

出典:パーソル総研 「ワーキングマザー調査結果【離職編】」

また、現時点で働いていない60歳以上の方のうち26%の方が、働きたいと考えていることも分かりました。

60~69歳の不就業者における就業希望割合と不就業の理由

パーソル総研 「644万人の人手不足~4つの解決策の提言~(労働市場の未来推計2030)」

「自分の会社の仕事は女性やシニアには出来ない」そんな思いをもつ企業もあるかもしれません。 それでもこのデータは、「女性やシニアでも働けるためにはどこをどう変えればよいのか」と、視点を変えて考えるきっかけになるのではないかと考えます。 

【参考】ワーキングマザー調査結果【離職編】(パーソル総研)
【参考】644万人の人手不足~4つの解決策の提言~(労働市場の未来推計2030)(パーソル総研)


古いままの労働条件や労働環境では魅力を感じられない

次に注目いただきたいのは、労働条件や労働環境です。時代の流れに合わせて柔軟に変化できていますか?

下記の調査結果をみると、日本の若者は「労働時間など、私生活の豊かさに結びつく労働条件であるかどうか」を重視する割合が上昇していることが分かります。

職業選択の重視点

出典:令和元年版 子供・若者白書(内閣府)
特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~より

たくさん働くことで収入やステータスが上がることよりも、いかに私生活を充実させられる労働環境の職場(いわゆるホワイト企業)が好まれる傾向にあることが分かります。そう聞くと、「そんなことでは事業は成り立たない」「私生活よりも仕事で成果を出してこそではないのか」 と感じる方もいるかもしれませんが、このデータは少なくともそうではない傾向を示しています。人手不足によって経営不振に陥ってしまったら、それこそ本末転倒です。データを鵜呑みにする必要はありませんが、自社に必要で、取り入れることのできることから検討することも視野には入れるべきでしょう。


「え?また人が辞めていく?」
企業規模が小さいほど退職率は高い

風土や環境への対処に加えて、採用以外に企業が注目すべきポイントとして、入社してくれた方がどの程度定着しているかを考えてみましょう。 せっかく採用した人材が、一人前になるのを待たずに次の職場へと旅立ってしまうことは、お互いにとって残念なことです。 

下記の通り、企業規模別の退職率を確認してみると、特に小規模な企業が人の入れ替わりの激しさに悩んでいる現状がみてとれます。 

企業規模×退職率

出典:中小企業における採用と定着(JILPT労働政策研究報告書No.195)

人材は、採用したらそれで終わりではありません。むしろ入社後にどれだけケアができているのかが、退職率に影響するのです。小規模な企業であるほど専任の担当者を配置する余裕がなく、研修や育成の仕組みはついつい後回しにしがちです。また、入社後のケアというのは研修や育成だけではなく、日常的なコミュニケーションの中で対応できることもあります。 いずれも将来への投資の側面も考慮し、検討してみることが重要です。 


まとめ:
必要なのは、欲しい人材に選ばれる会社になること

人手不足の実情や、考えられる要因を理解いただくことはできましたか?

中小企業や特定の業界にとっては厳しい現状も事実としてあることが分かりました。一方で、今、社会には潜在的に働きたい人が多数いることも知ることができたかと思います。そして、自社の魅力をアップしたり、人手不足の解消のためにどのような考え方が必要なのか、ということも、多くのデータから少しずつヒントとして見えてきたのではないでしょうか?

多様な人材が活き活きと働ける環境を整えることは、求職者にとっての魅力に繋がります。 企業が求職者から選ばれる立場となった現代、企業側も入社して欲しい人材に選ばれるように進化していくことが大切です。 


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この記事を書いた人

hutas編集部

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