働き方改革関連法案の概要&「中小企業が取り組むべきこと」を分かりやすく解説!

2018年6月に成立した働き方改革関連法案。2019年4月より段階的な施行がスタートしました。 しかし、働き方改革関連法案の具体的な内容について、「有給休暇の義務化や残業の上限規制は大手企業だけに関係すること」と、誤解している担当者は少なくありません。2019年4月時点ではすべての企業・事業所に適用されない分野も、2024年までに段階を追って拡大し適用されます。

✔自社が取り組むべきことは何か?
✔今、優先して対応すべきことは何か?

この2点を把握できるよう、働き方関連改革法案の概要と、中小企業が気をつけるべき施行のタイミングを分かりやすく解説します。

目次

  1. 1. 働き方改革関連法案の8つの分野と中小企業への適用時期

  2. 2. 働き方改革関連法案の対象となる中小企業

  3. 3. 働き方改革関連法案8つの分野それぞれの概要

  4. 4. 労働時間削減と労働時間把握の仕組み作りが急務

働き方改革関連法案の8つの分野と中小企業への適用時期

働き方改革関連法案は、一つの法律ではありません。労働に関する8つの法律改正をまとめた呼称です。

分野によって、必ず取り組むべき内容と、企業によって任意に取り入れる内容があります。まずは、分野ごとの施行時期と、猶予の対象となる企業規模の定義を紹介します。

働き方改革関連法案の8つの分野と適用開始時期一覧

それぞれの分野ごとに、働き方改革関連法案の適用開始時期が異なります。さらに、中小企業には猶予期間がある分野があります。なお、企業ごとに任意で取り入れる分野も3件あります。


働き方改革関連法案の対象となる中小企業

「中小企業」には定義があります。 「資本金の額または出資の総額」または、「常時使用する労働者の数」を、事業所単位ではなく企業単位で判断します。個人事業主や医療法人など、資本金や出資金の概念がない場合は、労働者数のみが基準になります。

  ①資本金の額または出資金の総額 ②常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 100人以下
卸売業 1億円以下
それ以外 3億円以下 300人以下


働き方改革関連法案8つの分野それぞれの概要

労働基準法をはじめとする各法律の条文改正から、総合的に「人事労務管理に大きな影響を与えるポイント」をご紹介します。

残業時間の罰則付き上限規制

働き方改革関連法案最大の「目玉」と言えるのが、残業時間の上限規制です。 1カ月45時間、年間360時間という36協定一般条項での残業時間の上限原則には、今回の法改正で変更はありません。

✔告示にとどまっていた時間外労働の上限が、罰則付きで法律で規定された
 (※6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

✔実質青天井だった残業時間に上限が設けられた
 (これまでは特別の事情が予想される場合について、労働基準法第36条に基づく労使協定の締結を行えば上限がなかった)
 ・年720時間以内
 ・月100時間未満(休日労働を含む)
 ・原則である残業1カ月45時間を超えるのは、1年のうち最大6カ月まで
 ・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)

この2点が重要なポイントです。

残業時間の罰則付き上限規制については、そのほかにもチェックすべきポイントがあるため、詳しくはこちらの記事(時間外労働の上限制限の「原則」とは?分かりやすい解説と違反した場合の罰則を確認!)でご紹介しています。


5日間の有給休暇取得の義務化

10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、そのうちの5日については毎年、時季を指定して必ず与えなければならないことになりました。ただし、労働者がすでに自分で取得した有給休暇が5日以上ある場合はこの限りではありません。

事業主の労働時間把握義務

労働者の労働時間の状況を、「省令で定める方法」で把握することが義務化されました。 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(厚生労働省、都道府県労働局・労働基準監督署)の定期的な確認が必要です。

割増賃金率の中小企業猶予措置廃止

「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は5割以上」という規定について、中小企業には優遇措置としてこれまで適用猶予が設定されてきましたが、この猶予がなくなります。

同一労働・同一賃金の原則

パートタイムや派遣社員・契約社員といった「有期雇用労働者」について、正社員である正規雇用労働者との「不合理な待遇差」を解消することが義務付けられました。 さらに注目すべきは、「正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説明」を求められた場合、必ず応じなくてはならない点です。

勤務間インターバル制度の努力義務

終業から次の始業の間に一定時間の休息がとれるよう、インターバルを設定する制度が努力義務化されました。現時点では「〇時間空けなければならない」という規定はなく、現時点ですでに設定している企業では8時間~12時間程度に設定しているケースが多くみられます。
【参考】勤務間インターバル(人事必須ワード)


3カ月のフレックスタイム制

通常は、1日8時間または週40時間を超える労働時間が時間外労働(割増率125%~150%)となります。労働者が始業時間と終業時間を自ら設定するフレックスタイム制を導入すると、1日・1週単位の労働時間ではなく、「清算期間」を通じて規定を超えた時間が時間外労働となります。この「清算期間」が1カ月から3カ月に延長されました。

高度プロフェッショナル制度

「高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者」を対象として、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度が設けられました。ただし、企業側が一方的に設定することはできず、定められた手続きに沿って届け出をしなければ認められません。


労働時間削減と労働時間把握の仕組み作りが急務

今回の「義務化」で、違反に対していくつかの罰則が設けられました。

例えば、「36協定違反」や「労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合」には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。これは、これまで以上に企業の責任が強く求められることを意味します。

しかし、働き方改革関連法案は労働者のためだけに立案されたわけではありません。「投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作る」ことに貢献するという目的があります。労働者を守るものであると同時に、企業の発展のために資するものです。

制度への「一時的・応急的な対応」ではなく、長期的な視点で
✔どのように労働生産性を向上するか
✔自社に合った効率的な労務管理方法設計

に取り組みましょう。

まずは、全ての分野に共通する「労働時間の正確な把握」が急務です。


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この記事を書いた人

hutas編集部

「hutas」はパーソルキャリアが運営する、初心者・兼任人事をはじめとして、人事業務を理解したい人のために、わかりやすく、業務に使える情報をお届けするメディアです。

時間外労働の上限制限の「原則」とは?分かりやすい解説と違反した場合の罰則を確認!

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