紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、将来的な直接雇用を念頭に置いた労働者派遣の形態です。派遣期間中、もしくは最大6ヵ月の派遣期間終了後、労働者と派遣先企業の双方が合意すれば、正社員や契約社員として企業が直接雇用をすることになります。

実際に派遣社員として働いてからの雇用となるため、企業にとっては業務遂行能力や適性を判断したうえで採用ができるというメリットがあります。労働者も、自分のスキルや経験を活かせるかという点や、会社の雰囲気などを入社前に判断できるため、直接雇用後の不安を軽減できるといえます。ただし、直接雇用における雇用形態については決まりがなく、正社員としての雇用だけでなく、有期雇用などの非正規雇用も対象となります。また、紹介予定派遣では従来の派遣受け入れとは異なり、派遣就業前・就業中の求人条件の明示、就業前の履歴書確認や面接実施、就業中の求職意思の確認・採用内定を行うことが認められています。どちらかというと、中途採用とよく似たステップで人材を採用することが可能です。


紹介予定派遣とは?採用のミスマッチによる早期離職にも役立つ採用手法


紹介予定派遣の背景

派遣労働自体は、労働者派遣法が施行された1986年より始まりました。当初は一時的に外部の労働力を確保する手段として考えられており、対象業種が限られていましたが、次第に対象は拡大されてきました。1999年の派遣法改正では特定業務以外の派遣労働が自由化、さらに2000年に派遣先での就業を促進する制度として、紹介予定派遣が解禁されました。その背景には、主に、悪化していた雇用情勢の改善を図るという目的があります。近年では、採用のミスマッチを防げるという点からも、採用手法として注目されています。


紹介予定派遣と一般派遣の違い

紹介予定派遣と一般派遣には、3つの違いがあります。

1.直接雇用を前提としているか否か

紹介予定派遣は直接雇用を前提としていますが、一般派遣には特に規定はありません。派遣の受け入れのみを行うこともできますし、直接雇用したい人材であれば、派遣期間終了後に採用の働きかけを行うことも可能です。

2.派遣期間の違い

紹介予定派遣は、直接雇用を前提とした試用期間的な役割があるため、派遣期間は最長6ヵ月となっています。一方、一般派遣は一定期間で契約更新することで、最長3年間の派遣が可能です。

3.紹介予定派遣は派遣期間内であっても直接雇用が可能

一般派遣の場合、派遣期間中に派遣先が直接雇用しようとすると二重雇用となり、派遣元からの損害賠償請求のリスクが発生するため、原則行われません。一方、紹介予定派遣は、直接雇用を前提としていますので、派遣期間終了を待たずに途中で直接雇用へ切り替えることが可能です。

■人材紹介との違い

人材紹介は、人材紹介会社が採用要件に合致する人材を企業へ紹介するものです。人材紹介では、企業に対して求職者を紹介したのち、選考が行われます。企業と求職者双方が合意すれば、企業と求職者の間で雇用契約を結ぶことになります。

一方、紹介予定派遣では、前述の通り派遣元と求職者との雇用契約下から企業への就業が開始します。派遣期間内に企業は求職者を見極め、その後双方の合意を経て企業と求職者は雇用契約を結ぶことになります。

紹介予定派遣の派遣受入期間

同一派遣労働者についての紹介予定派遣は最長6ヵ月です。延長はできません。6ヵ月の派遣期間終了後に継続して働く場合には、会社・労働者の双方の同意のもと直接雇用という形をとらなければなりません。

紹介予定派遣の利用で発生する費用

■派遣料金
派遣期間中には、派遣社員一人当たり時間単価×実労働時間の派遣料金がかかります。派遣料金は派遣先が派遣元へ支払い、派遣元から派遣社員へ給与が支払われます。派遣社員は派遣元に所属しており、福利厚生等は派遣元から提供されます。そのため、派遣先が派遣社員に対して福利厚生を提供する必要はありません。

■紹介手数料
派遣期間終了の1ヵ月前までに企業と派遣社員が直接雇用に合意した場合、派遣元への紹介手数料が発生します。

紹介手数料は、採用予定の派遣社員の初年度理論年収×手数料率です。なお、手数料率は派遣期間に応じて変動しますが、おおよそ20〜30%前後に設定されます。派遣期間が長くなるほど手数料率は低下するのが一般的です。

■理論年収の算出法(一例)

理論年収の算出法は企業によって異なります。例として、採用決定者の月次給与12カ月分および交通費以外の一切の諸手当(所定外労働手当を含む)、報奨金、一時金を合計した金額を理論年収とする企業もあります。変動給が多い場合は、企業の平均値・前年度実績をもとに理論年収を算出する場合もあります。


紹介予定派遣の利用メリット

紹介予定派遣を利用するメリットには次のようなものがあります。

1.派遣期間で人材の見極めが可能

紹介予定派遣では、直接雇用の前に派遣社員として勤務してもらうため、スキルや会社との相性も考慮したうえで採用を決定できます。一般的な採用ステップである、履歴書や面接などによる採用選考よりも的確な人材の見極めが可能です。また、派遣社員としての試用期間があるため、企業側では受入準備がスムーズに進むうえ、労働者とのミスマッチを防ぐ役割も果たします。

2.採用活動の工数が減る

紹介予定派遣で派遣される人材は、派遣会社主導で人選などがおこなわれますので、企業側では募集の広告や応募管理などの手間がかかりません。採用活動の工数が減り、内部コストを下げる効果があります。

3.事前面接や履歴書の確認ができる

一般の派遣受入の場合には、派遣先が労働者を指定することや、労働者に対する事前の面接や履歴書確認は認められていません。しかし、直接雇用を前提としている紹介予定派遣では通常の正社員の採用時と同様に、事前面接や履歴書の確認が認められているため、ある程度人選した上で受け入れを決定できます。


紹介予定派遣の問題点

必ずしも雇用につながるわけではない

紹介予定派遣は直接雇用を前提とした制度ですが、派遣期間終了後は企業側、派遣元ともに理由を告知したうえで直接雇用を拒否することもできます。企業側に採用の意思があっても、労働者側から辞退される可能性もあります。

例えば、紹介予定派遣の期間は最長6ヵ月ですので、仮に6ヵ月経った段階で直接雇用不可となると、企業側ではそこから再び別の紹介予定派遣を受け入れるか、別の手法での採用活動を再開しなければなりません。

人材のミスマッチを防げるメリットがあるとはいえ、2016年の厚労省の調査では、紹介予定派遣から直接雇用へと至った割合はおよそ53%でした。つまり、約半数ほどは採用につながっていないことになる点に注意が必要です。そのため、紹介予定派遣だけで人材採用を行おうとせず、自社の採用計画と照らし合わせながら、ほかの採用手法とともに計画的に運用していくことが望まれます。

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この記事を書いた人

hutas編集部

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