看護休暇

看護休暇とは、「子の看護休暇」のことを指し、小学校就学前の子どもを養育する労働者が、事業主に申し出ることにより、1年度において5日(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっては、10日)を限度として休暇を取得できる制度のことです。

看護休暇は、労働者が子育てをしながら働き続けられるようにするため、子どもが病気やけがの際に休暇を取得しやすくすることを目的とした制度で、育児・介護休業法に規定されています。

事業主は、要件を満たす労働者から申し出があった場合は、その申し出を拒むことはできません。また、看護休暇を申し出たことやその利用によって解雇等を行うなど、労働者にとって不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。


半日単位の取得も可能に。看護休暇は取得しやすくなったか?


1985年制定の男女雇用機会均等法以降、女性活躍のためのさまざまな支援策の導入が進められてきました。しかし、働く女性の約6割が第1子出産後に離職するなど(国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」)、日本では女性が仕事と家庭を両立してキャリアを継続することが困難な状況が長く続いていました。

企業では、法制定以前にも、独自に産前産後休業や育児休業などの女性の両立支援策を整備してきました。しかし、女性活躍推進に対する社会的な関心の高まりとともに、女性の仕事と家庭の両立支援は国の重要政策の一つとなり、1991年に「育児休業等に関する法律」が制定されました。1995年には介護休業規定を加え、現在の育児・介護休業法となり、何度かの法改正を重ねて今日に至っています。

看護休暇は、2004年の法改正で、育児・介護休業の対象労働者の拡大(一定の要件を満たす有期契約労働者)、育児休業期間の延長(子が1歳6カ月に達するまで)、介護休業の取得回数制限の緩和などとともに創設され、同法に盛り込まれました。2016年の法改正では、1日単位で年間5日間までとされていた看護休暇が半日単位でも取得できるようになり、労働者の事情に配慮した柔軟な取得が可能になりました。


看護休暇の取得状況と男性の休暇取得の難しさ

厚生労働省が2014年に行った雇用均等基本調査によると、看護休暇を取得した女性の割合が25.3%であるのに対し、男性の割合はわずか5.2%でした。また、厚生労働省委託調査「平成27年度仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(2015年)によると、3歳未満の子を持つ労働者の直近1年間の看護休暇制度の平均利用日数は、正社員である女性が1.8日だったのに対し、正社員である男性は0.5日です。看護休暇は女性だけが取得できる制度ではありませんが、多くの職場では母親である女性の利用が圧倒的に多くなっています。

男性の看護休暇取得が少ないのはなぜでしょうか?

内閣府の少子化社会対策白書(2017年)によると、「制度があることを知らなかった」が23.5%で最も多くなっています。就業規則にも記載されているはずの休暇制度ですが、看護休暇は男性の認知度が低い休暇制度の一つといえます。配偶者が専業主婦の男性でも取得することができる休暇ですので、企業はこうした制度があることを女性だけでなく、男性にも認知させることが必要です。

また、法律上、看護休暇は有給扱いにしなくても問題ないことになっており、「有給」か「無給」かの取り扱いは企業によって異なります。そのため、看護休暇が「無給」の企業では、看護休暇より年次有給休暇を取得するという状況が発生し、看護休暇の取得率の低さにもつながっていると考えられます。


利用したいときに取得しやすい看護休暇のために

看護休暇は、仕事と家庭の両立をしやすくして、女性の就業継続を支援する策の一つとして導入されました。本制度は、企業にとって優秀な人材の雇用維持だけでなく、戦力となる人材の確保と育成につながるなどのメリットもあります。企業は育児・介護休業法の趣旨と内容を理解し、職場における仕事と家庭の両立のため、看護休暇を取得しやすい職場環境づくりを進めることが重要です。

厚生労働省では、子育て中の労働者をはじめ、職場で特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度の導入を促進しています。「社員と会社が元気になる休暇制度導入事例集」では、法律上定められた看護休暇にプラスした休暇内容や利用促進方法が紹介されていますので、自社の制度策定の参考にすることができます。

「働き方改革」の動きが活発化する中、育児・介護休業法は比較的短い間隔で見直しがなされ、よりいっそうの両立支援を促進しています。しかし、「看護休暇を含めたさまざまな両立支援策がなければ子どもを持つ労働者が働きづらい」という職場環境・組織風土を残していては、真の両立支援にはなりません。また、前述で指摘したように、男性が制度を認知していない状況も同様です。日本では「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割分業意識の根強い男性の働き方が優先されていることも多く、こうした状況そのものを見直す必要があるとも考えられます。


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この記事を書いた人

北川佳寿美

精神保健福祉士、キャリアコンサルタント

アパレル、百貨店を経て、2002年精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー国家資格)取得。一貫して「働く人のこころの健康と働き方支援」に関わる。EAP(従業員支援プログラム)、医療機関を経て、2015年メンタルヘルスケアとキャリア開発支援のコンサルタント・研修講師・カウンセラーとして独立。

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