ノー残業デー

ノー残業デーは、定時で仕事を終え残業せず退社する日を設定し、従業員に定時退社を推奨する企業の取り組みの一つです。ワーク・ライフ・バランスへの取り組み、長時間残業の是正、働き方改革の一環として、多くの企業で導入されています。一般的には週に1日あるいは2日のノー残業デーの曜日を定め、毎週その曜日は定時で退社するよう社員に働きかけます。


ノー残業デーのメリットを活かしワーク・ライフ・バランスの実現と働き方改革を推進


働き過ぎ、長時間残業の対策として

高度経済成長の中で「残業するのは当たり前」という考え方が定着していましたが、1970年代ごろから、日本人の働き過ぎが問題視されるようになりました。さらに1990年ごろから過労死やメンタルヘルス疾患、長時間労働が社会問題化する中で、働き過ぎと長時間残業の対策としてノー残業デーが導入されてきました。

「残業」とは本来、会社の命令に基づいて行うものです。しかし、従業員の業務が多様化したり、人によって業務量に偏りが生じたりして労働時間管理の徹底が難しくなったこと、あるいは従業員の自主性を尊重するという名分によって、残業をするかしないかを従業員が判断しているケースが多いのが実情です。

すると、「残業代が欲しいからもう少し働こう」と考える人が出てくることは十分考えられますし、“自主的に”残業する人が多い職場では、その日の仕事は終わっているにもかかわらず退社しづらい雰囲気に流されて居残ってしまう人も出てきます。そのような不健全な状態を、ある種の強制力で改善するのがノー残業デーだといえます。 


ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

さらに近年では、ワーク・ライフ・バランスの取り組み、働き方改革の一環としてノー残業デーの導入が広がっています。現在ノー残業デーは、企業が行っている長時間労働対策として最も一般的な施策であり、約7割の企業がノー残業デーを実施しています。

NHKの調査では、ノー残業デーの頻度は、週1回が最多で、次いで多いのが週2回、月1回となっています。実施曜日は水曜日が最多で、次いで多いのが金曜日となっています。


ノー残業デーのメリット

(1)ワーク・ライフ・バランスの推進

オン(仕事)とオフ(プライベート)のメリハリをつけることで、従業員のオフの充実を図るとともに、仕事との相乗効果が生まれ、ワーク・ライフ・バランスの推進につながります。

(2)働き方に対する意識改革と生産性向上

ノー残業デーを設けることで、従業員の時間管理の意識を高め、効率的な仕事の仕方を考えるよう促すことができます。その結果、業務の効率化と会社全体の生産性の向上につながります。

(3)人件費・経費削減

残業代の削減による人件費の削減、照明や空調など残業時の電気使用量削減による省エネと光熱費の削減が可能となります。


ノー残業デー導入・運用のポイント

ノー残業デーは大きなメリットがありますが、形だけの導入や誤った運用で形骸化する可能性があります。仕事の見直し・効率化がなされないままでは、時間内に仕事が終わらない、仕事が滞る、仕事自体は減らないため別の日に残業が増える、仕事を家へ持ち帰る人が出てくるなど、むしろ社員の不満が増えてしまいます。

  1. 経営トップからノー残業デーの目的を会社全体に伝える
  2. 経営トップ、管理職から率先して実践する
  3. ポスターを作成・掲示し周知徹底する
  4. 定期的にアナウンスする
  5. 定時になったら強制的に照明・空調、社内システムとの通信をシャットダウンする
  6. 職場を見回り定時退社を促す


ノー残業デーを有効に活用し、形骸化させないために、上記のような対策を取ることも必要です。

ノー残業デーを“わざわざ”設定しなければならない状態とは、管理職による労働時間管理が徹底されておらず、残業が常態化していることの裏返しでもあります。ノー残業デーに定時で帰ればそれでよしとするのではなく、「残業は特別、定時に退社するのが当たり前」ということを念頭に置いて、残業しないために「定時内の業務をいかに効率化するか」を管理職と従業員が協力して考えることが、ノー残業デーの効果を高めることにつながります。


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この記事を書いた人

堀内泰利

東京経済大学 特任講師/元NEC 人事部キャリアカウンセラー

米国ピッツバーグ大学経営大学院修了(MBA)、筑波大学大学院博士課程修了。 日本電気株式会社(NEC)にて、本社、北米現地法人等での人事・人材開発の業務とマネジメントに長く携わる。 全社の人事制度・人材育成制度の構築・改革、キャリア形成支援制度の立ち上げなども担当。2014年4月から現職。

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