有給休暇

有給休暇(有休・年休)とは、正しくは年次有給休暇といい、一定要件を満たした従業員が取得できる、賃金が支払われる有給の休暇のことです。有給休暇は労働基準法第39条で認められている、労働者に与えられた権利です。


有給休暇が年5日の取得義務化へ。事業者に求められる対応とは


日本における有給休暇の導入の歴史

日本では戦後の1947年に労働基準法が制定されたことに基づき、年次有給休暇が導入されました。当時、年次有給休暇の日数は最低6日とされていましたが、その後、国際条約等の変更に伴い、1988年に最低10日に引き上げられ、現在に至っています。


年次有給休暇の付与条件や日数について

年次有給休暇の付与条件

一定の要件を満たした従業員に対しては、年次有給休暇を必ず付与しなければなりません。

  • 半年以上継続して雇用されている
  • 全労働日の8割以上を出勤している

上記2点の要件を満たしていれば、正社員、パートタイム労働者などの区分に関係なく、年次有給休暇を付与する必要があります。

年次有給休暇の付与日数

法律上、年次有給休暇の最低付与日数は勤続年数によって変わってきます。また、労働日数が少ない従業員の場合、労働日数と勤続年数によって付与しなければならない年次有給休暇日数が異なります。

通常の労働者の付与日数

継続勤務年数0.5 1.5
2.5
3.5
4.5
5.5
6.5以上
付与日数 10
11
12
14
16
18
20

所定労働日数が4日以下かつ週所定同労時間が30時間未満の労働者の付与日数



週所定
労働日数
1年間の
所定労働日数
継続勤務年数
0.51.52.53.54.55.56.5
付与日数
(日)


4日
169~216日
7
8
9
10
12
13
15
3日
121日~168日
5
6
6
8
9
10
11
2日
73日~120日
3
4
4
5
6
6
7
1日
48日~72日
1
2
2
2
3
3
3

出典:厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署|事業者の方へ

年次有給休暇は半年以上働いている従業員であれば、パートタイム労働者であっても付与しなければいけません。もし仮に正社員以外に年次有給休暇を付与しない会社があった場合、労働基準法違反となり、罰則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

年次有給休暇の申請について

年次有給休暇の取得は労働者の権利です。そのため、会社は有休取得の申請を原則的に拒否できません。また、有休取得の申請に特別な理由等は必要なく、会社は取得理由により、申請の可否を決めてはいけません。

ただし、会社には業務上の都合で有休の取得時期を変更できる権利があります。これは「時季変更権」と呼ばれるもので、申請された年次有給休暇を承認すると事業の正常な運営が困難になると判断される場合に、有休申請者に取得日を変更するよう持ちかけることができる権利です。あくまで、有休の取得日を変更するようお願いできるだけであって、強制的に有休取得申請を却下できるものではないので注意が必要です。

日本における有給休暇の取得率

日本においては、年次有給休暇の取得率の低さが問題になっています。日本の年次有給休暇の取得率がどれほど低いか、厚生労働省が2017年12月27日に発表した年次有給休暇についてのデータを見てみましょう。

性・企業規模・産業・年 労働者1人平均付与日数(日) 労働者1人平均取得日数(日) 取得率(%)
平成29年調査計18.29.049.4
18.68.746.8
17.29.655.4

引用:厚生労働省|平成29年 就労条件総合調査の概況

2016年(または2015会計年度)1年間で企業が付与した年次有給休暇は労働者1人当たり平均18.2日、労働者1人当たりの平均取得日数は9.0日でした。つまり、日本における年次有給休暇の平均取得率は49.4%という結果でした。日本の年次有給休暇の取得率は世界的に見て低水準とされており、いかに従業員に有休を取らせるかが今後の課題となっています。

「年5日」の有給休暇取得の義務化

年次有給休暇の取得率が低いことを受けて、2018年6月の働き方改革関連法の成立により、有休取得に関する制度が変わります。

すべての会社は、1年間の年次有給休暇消化日数が5日未満の従業員に関して、会社が有休を取得するべき時季を指定することが義務づけられたのです。ただし、年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休制度)によりすでに年5日以上の有休を付与している場合、従業員がすでに年5日以上の有休を取得している場合は指定義務の対象外になります。「年5日」の有休取得の義務化は2019年4月から施行されます。中小企業のための適用猶予期間はありません。

有給休暇取得率に関する今後の展望

今回の法改正では、「年5日」の有休を取得させる義務に違反した場合、会社に対して30万円以下の罰金が科せられることになりました。また、内閣府男女共同参画局がとりまとめる「第4次男女共同参画基本計画」では、2020年までに有休取得率を70%に引き上げる成果目標を掲げており、取得率上昇のための取り組みが今後も行われていくことが見込まれます。


有給休暇が取得しやすい職場環境づくり

事業者は従業員が有休を取得しやすいような職場環境を整える必要があります。有休を取得しやすい環境づくりを進める企業のそのほかの取り組みの一部を紹介します。

時間単位年休の活用

2010年の労働基準法改正で導入されたのが「時間単位年休」です。導入企業は年間5日分までの有休を1時間単位で取得できます。従業員は1時間遅く出社したり、1時間早く退社したりと有休を柔軟に使うことができ、有給休暇取得の促進が期待できます。

積立年休制度の活用

消化しきれなかった有休を積み立て、長期休暇として使えるようにしている企業もあります。内容としては、「未消化の年次有給休暇のうち毎年2日を上限に最高20日まで積み立て可能」というような制度です。積み立てた有休は、突然の病気による長期入院や育児など企業が限定した用途において取得できます。

計画的付与制度の活用

計画的付与制度は年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、会社が計画的に有休取得日を割り振ることができる制度です。この制度を活用することで、労務管理がしやすくなり、また従業員もためらいを感じずに有休を取得できるメリットがあります。

年次有給休暇の付与、計画的付与制度の活用に不安がある事業者は近くの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に問い合わせてみましょう。「働き方・休み方改善コンサルタント」が電話相談や個別訪問をして、働き方や休み方改善のためのアドバイスを無料でしてくれます。

※問い合わせ先:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧


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この記事を書いた人

hutas編集部

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