勤務間インターバル

勤務間インターバルとは、勤務終了後、一定時間以上の休息時間を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保する制度です。前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定の休息時間を確保することで、ワーク・ライフ・バランスを保つことを目的としています。


勤務間インターバルとは?導入に向けた課題は何か?

長時間労働是正策としての勤務間インターバル

諸外国の例としては、「24時間につき最低連続11時間の休息期間を付与」などと定めるEU労働時間指令があります。

日本では、2015年に厚生労働省の委託事業として行った調査 で、勤務間インターバルを導入している企業は2.2%と非常に低い数字となっています。

長時間労働の是正を目的の一つとする働き方改革関連法に基づき、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法が改正されました。この改正に勤務間インターバルが盛り込まれ、事業主は前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない努力義務が定められました。


努力義務とは、違反しても刑事罰や過料等の法的制裁を受けない義務のことです。その点からすると、勤務間インターバルの対応への関心は低くなりそうですが、「働き方改革」という時代の流れから対応を考える必要があります。

「働き方改革」の中心には長時間労働の是正という課題が存在します。勤務間インターバルに関する罰則は存在しなくても、長時間労働の是正については、罰則付きの時間外労働の上限規制が導入されます。経営者が「働き方改革」に対応しようと思えば、従業員の「休み方改革」を視野に入れる必要があり、その手段として勤務間インターバルを取り入れることが考えられます。

厚生労働省「勤務間インターバル制度を取り巻く状況等

勤務間インターバル導入に向けての検討課題

勤務間インターバル導入に向けて考慮しなければならないこととしては、

  1. インターバル時間
  2. 対象範囲
  3. 規定の整備とマネジメント
  4. システムや機器の関係
  5. 助成金の利用

といったことが挙げられます。

1. インターバル時間

法律で「何時間以上」という基準があるわけではありません。ただ、厚生労働省の「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」では、新規導入の際には「9時間以上」が支給対象の取り組みとなっているため、今後は9時間が一つの目安となっていく可能性があります。

2. 対象範囲

基本的には全社員とすべきですが、管理職と非管理職の区別、営業部門や研究部門などの部門別等の区別に応じたインターバル時間を設定することを、別途考慮する必要があるでしょう。

3. 規定の整備とマネジメント

勤務間インターバルの導入は労働条件に関する制度ですので、就業規則の改定等、規定の整備が求められます。

4. システムや機器の関係

勤務間インターバルを導入・運用するには、従業員の出退勤時刻を正確に把握する必要があります。HRテクノロジーの発展で、勤務間インターバルに対応した勤怠管理システムも登場しているので、利用を検討するとよいでしょう。

5. 助成金の利用

一定規模までの中小企業の場合は、先に触れた「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」の利用が可能です。要件を満たすことで、勤務間インターバル導入への取り組みに要した経費の一部が支給されます。(4)で触れた勤怠管理システムの導入も助成対象となっていますので、上手に利用したいところです。


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この記事を書いた人

小川輝行

特定社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

法政大学法学部法律学科卒業。現在は社会保険労務士法人シグナルのアドバイザーとして従事。 社会保険労務士として、主に就業規則作成、労使トラブル予防・解決の相談に対応。社会保険労務士試験受験用の問題集や実務書の作成スタッフも担当。

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