退職金制度

退職金制度は、正式には退職給付制度と呼ばれ、任意退職、定年、解雇、死亡等の事由で雇用関係が終了したときに、事業主またはその委託機関から労働者に一定の金額を支給する制度です。支払い形態によって退職一時金制度と退職年金制度に分けられます。

終身雇用制のもと、退職金制度は広く導入されています。法律上、会社に退職金制度導入の義務はありませんが、退職金制度を設置し、就業規則に退職金規定を設けると、退職金は賃金の一部と見なされ退職金を支給する義務が発生します。


近年、退職金制度の見直しをする企業が増加。退職金制度の種類と導入・見直しのポイント

退職金は、雇い主が使用人に対し独立の業を営む権利「のれん」を分ける習慣に発したものといわれています。終身雇用制のもと、雇用確保、永年勤続の奨励、老後の生活保障などを目的に、退職金制度は戦後急速に普及しました。


退職金制度の種類

退職金制度(退職給付制度)は、大きくは退職一時金制度退職年金制度に分けられます。退職一時金制度は退職時に退職金を一括して支給する制度であり、退職年金制度は一定期間あるいは生涯にわたり一定額を年金として支払う制度です。会社によって、一時金制度または年金制度のどちらかを採用している場合と、両者を併用しているケースがあります。

■退職一時金制度

退職金を基本給に連動させる基本給連動型と、基本給とは切り離し個人業績などを加味するポイント制などがあります。
自社で退職金の支払い準備をするのが難しい中小企業は、中小企業の従業員向けの退職金制度である中小企業退職金共済制度を利用できます。また中小企業に限らず大企業も利用できる特定退職金共済制度もあります。


■退職年金制度

加入した期間などによってあらかじめ給付額が確定している「確定給付企業年金制度」と、企業が掛け金を拠出し、加入者が自ら運用する「企業型確定拠出年金制度」があります。



1990年代後半から、日本の会計制度を国際会計基準に準ずるものにするために、「会計ビッグバン」と呼ばれる会計制度改革が行われました。2001年3月期からは「退職給付会計」という新制度が導入され、会計ビッグバンの影響は退職金制度にも及ぶことになりました。それまでの会計制度では貸借対照表への記載の義務がなかった退職金の債務を、記載しなくてはならなくなったのです。

これにより、遠い将来まで債務を抱えることになる一時金制度から、拠出時に損金計上できる確定拠出年金制度に移行したり、その割合を増やしたりする企業が出てきています。この新しい会計制度導入は主として上場企業を対象とするものではありますが、退職金制度を設けている非上場企業も、退職金給付の債務を負っていることに変わりはなく、退職金制度の見直しは日本の企業全体に及ぶ大きな流れにつながっています。


退職金制度導入と見直しの流れ

退職金制度は75%以上の企業が導入している制度であり、従業員としては退職後の生活資金・保障が得られるため企業の魅力となりうるものです。しかし退職金支給は高額となり、経営に大きな影響を与えますので、新たに導入する場合は、慎重な検討が必要です。

近年は、退職金制度を設置しない傾向があり、退職金制度を廃止する企業や、退職金制度の見直しをする企業も増えてきています。また、1990年代以降、成果主義に移行する流れの中で、個人業績、会社への貢献度を反映できるポイント制退職金制度の導入が広まってきています。退職年金制度を、企業が長期債務を有することになる確定給付型年金制度から、拠出時点で退職給付費用を計上できる確定拠出型年金制度へ移行する企業も増えています。


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この記事を書いた人

堀内泰利

東京経済大学 特任講師/元NEC 人事部キャリアカウンセラー

米国ピッツバーグ大学経営大学院修了(MBA)、筑波大学大学院博士課程修了。 日本電気株式会社(NEC)にて、本社、北米現地法人等での人事・人材開発の業務とマネジメントに長く携わる。 全社の人事制度・人材育成制度の構築・改革、キャリア形成支援制度の立ち上げなども担当。2014年4月から現職。

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