標準報酬月額

標準報酬月額とは健康保険・厚生年金保険料の算出に用いられる金額のことです。4、5、6月に支給された給与(通勤交通費、残業代などを含む総支給額)を基に計算し、毎月の保険料を算出します。厚生年金保険料の標準報酬月額は、現在は31等級に分かれています。残業代の増減などで月によって報酬が変動することがあっても、標準報酬月額の仕組みを用いることで社会保険料は一定の金額を控除すればよくなり、事務手続きの簡略化が可能になります。


社会保険料の決定に関わる標準報酬月額の基礎知識|算定の種類や、例外への対応方法を解説


標準報酬月額の背景

社会全体の給与水準が高まることで、最高等級に区分される労働者が多くなる傾向にあるため、全体の1.5%を超えると最高等級の上にさらに等級が加えられます。高度経済成長期からバブル期にかけては上の等級の追加が頻繁に行われていました。

2016年10月に16年ぶりに行われた等級の追加では、短時間労働者の社会保険への加入を拡大するため、下の等級が追加されて標準報酬月額の下限が引き下げられました。

等級とは?
現在は、厚生年金保険では1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの全31等級に、健康保険では第1級(5万8千円)から第50級(139万円)までの全50等級に区分されています。


標準報酬月額とは?

■給与として対象となるもの

基本給歩合給役職手当勤務地手当家族手当
求職手当住宅手当通勤交通費残業代など


■対象とならないもの

ボーナス(賞与)は年3回以下の支給の場合 ※4回以上の場合は対象となる可能性があります。
退職金慶弔費出張交通費など


標準報酬月額の決定時期

■定時決定

毎年7月に1回、社員の4月、5月、6月の3カ月間の給与額と平均月額を、算定基礎届として提出します。それを基に、年金事務所が標準報酬月額を決定し、当年の9月から翌8月までの社会保険料として徴収されます。届出は、毎年7月10日までに行う必要があります。

【注意】
繁忙期や閑散期が4月~6月に該当する企業は、1年間の給与平均額をもとにした標準報酬月額で決定することができます。
※申し立てる場合は、「事業主の申立書」と「被保険者の同意」の提出が必要です。

■資格取得時

従業員の入社時に、月給であればひと月の給与の見込み額で標準報酬月額を算定します。入社5日以内に、日本年金機構へ届け出を提出します。

■随時改定

基本給などが変更になり、定時決定時に参照した3カ月間の給与平均額から、変更後の3カ月間の給与平均に順当する標準報酬月額に2等級以上の差が生じる際に対応が必要な改定です。月額変更届を提出することで、申告します。

【注意】
随時改定は、基本給などの固定賃金が変わった際に適用されるもので、残業など一時的な給与の増減に対しては適用されません。
このほか、育児休業等の終了時の改定、病欠やストライキ等による変動なども、保険者決定として必要に応じて対応する必要があります。


事業主による従業員の給与改ざん問題

標準報酬月額を実際より低い金額で申告することで、会社の支払う保険料の負担を減らすというもので、低い金額で申告された従業員の受け取る年金額が下がってしまうという問題が起こりました。

従業員は自身の給与、賞与が正しく申告されているかをチェックすることが可能です。社会保険事務所、社会保険庁「ねんきんネット」、「ねんきん定期便」で確認することができます。


例年4~6月が繁忙期や閑散期に当たる企業は、定時決定の際に申告が必要です

標準報酬月額の算出が4~6月の総支給額で行うことから、この期間に残業の多くなる繁忙期を迎える企業は年間の保険料が高くなってしまいます。逆に、閑散期の企業は納める保険料が低くなり、従業員は1年という期間で見た時の標準的な労働量の水準と、受け取る年金とが見合わないということになります。このような場合、算定基礎届の提出時に、年間平均で申告する必要があります。

適用になる条件は次の通りです。

  • 4~6月の総支給額の平均で算出した標準報酬月額、年間平均で算出した標準報酬月額とで2等級以上の差がある
  • 上記のような差が例年発生することが見込まれている
  • 被保険者が同意している

参考:厚生労働省「被保険者報酬月額算定基礎届」

4~6月以外の月に大幅に賃金変動がある場合も、申告が必要です

一方、2018年10月1日より、「月額変更届」に関しても、保険者算定の基準追加が行われました。これにより、4~6月の給与変動だけではなく、例年発生する給与改定や、賞与支給なども申告の対象となりました。

適用される条件は次の通りです。

  • 4~6月の総支給額の平均で算出した標準報酬月額、年間平均で算出した標準報酬月額とで2等級以上の差がある
  • 上記のような差が例年発生することが見込まれている
  • 現在の標準報酬月額、年間平均で算出した標準報酬月額とで1等級以上の差がある
  • 被保険者が同意している


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この記事を書いた人

hutas編集部

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