福利厚生

福利厚生とは、労働力の確保、社員のモチベーションアップや定着促進等を目的として企業が社員に給付する利益や便益、施設のことです。

福利厚生は「法定の福利厚生(法定福利費)」と「法定外の福利厚生(法定外福利費)」に大別されます。法定の福利厚生とは、法律上使用者に拠出が義務づけられているもので、健康保険などの労働・社会保険料の使用者負担分が代表例です。法定外の福利厚生とは、法定の福利厚生以外のもので、従業員持ち株制度など使用者が任意に実施・設置しているものです。


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目次

  1. 1. 労働者の確保策としての福利厚生

  2. 2. 定番の福利厚生は従業員持ち株制度

  3. 3. 福利厚生の廃止・縮小は労働条件の不利益変更となる

福利厚生は変化するのか?正社員との均等・均衡処遇にも注意


労働者の確保策としての福利厚生

福利厚生は、賃金や年間休日数などと並んで労働者確保策として重要な機能を果たしてきました。今でも社員留学制度、資格取得支援やキャリアカウンセリングの提供、図書費など自己啓発費の補助といった魅力的な制度を設けている会社は、学生や転職希望者の注目を引きます。

どのような福利厚生が求職者や社員に魅力に映るかは、時代とともに変化します。そこには個人のニーズの変化や会社の事情が垣間見えます。住宅取得が困難だった時代では社宅等の提供が魅力的な制度でした。例えば社有社宅制度の実施率は1995年時点では65.5%と多くの企業が導入していましたが、2018年では20.7%と大きく減っています(労務行政研究所調査)。企業業績の低迷が続く中、社宅等の維持・運営コストと従業員のメリットが釣り合わなくなったことが原因とみられています。

今日では、就労形態の多様化に合わせて、育児介護支援策などが注目されています。しかし福利厚生が就職先や転職先選択の重要な判断基準の一つになっていることには変わりありません。


定番の福利厚生は従業員持ち株制度

多くの企業で実施されている福利厚生制度は、従業員持ち株制度(70.7%)、借り上げ社宅(70.0%)、総合福祉団体定期保険(44.3%)、業務災害の法定外補償(41.4%)です(労務行政研究所2018年調査)。従業員持ち株制度が人気なのは、企業業績が向上することで社員も株価上昇で報われることから、勤労意欲を引き出すことができると考えられているからでしょう。

借り上げ社宅が人気なのは社有社宅と異なり、社員が自由に賃貸物件の場所を選ぶことができる点にあります。また賃金扱いとなる住宅手当の支給と比べて、社会保険料や所得税の節約になるメリットも見逃せません。


カフェテリアプランが安定した人気

社員の価値観の多様化を受けて、いくつかの福利厚生メニューから自分で福利厚生サービスを選ぶことができる制度(カフェテリアプラン)を導入している企業もあります。カフェテリアプランは、一定のポイントを社員に付与し、その範囲内で福利厚生サービスを選択できます。日本経済団体連合会(経団連)の福利厚生費調査(2016年度調査)では、経団連の会員企業の15.2%が導入しています。


福利厚生の廃止・縮小は労働条件の不利益変更となる

すべての社員に適用される福利厚生は、労働条件として就業規則等に記載が必要となります(労働基準法第89条、就業規則の相対的記載事項)。また業績の悪化や社員からの要望が減ったことによる福利厚生の廃止・縮小は、労働条件の不利益変更(労働契約法第9、10条)となる可能性がありますので要注意です。客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められるため、社員と十分話し合って慎重に制度変更を進めることが必要です。


パート・有期社員と正社員との均等・均衡処遇にも注意

福利厚生においても正社員との均等・均衡処遇が求められてきました。現時点でも更衣室や食堂の利用等で、パート・有期社員を差別的に取り扱うことはできません。2020年からパート・有期社員と正社員との均等・均衡処遇をうたったパートタイム・有期雇用労働法(第8、9条)も施行されます。

また男女雇用機会均等法(第6条第2号)によって、住宅資金・教育資金の貸し付けや住宅の貸与などで、男女で異なる扱いをすることが禁じられています。そのため男性には独身寮を提供し、女性には住宅手当を支給するといった異なる扱いは違法となります。


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この記事を書いた人

本田和盛

あした葉経営労務研究所 代表 社会保険労務士

コマツにて法人営業、販売企画、人材育成などの業務を担当後、人事・労務のプロフェッショナルを目指し退職。社会保険労務士として独立開業後10年間 で、200社を超える企業で人事・労務・採用に関するコンサルティングを行う。

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