人事制度

人事制度は、短期的パフォーマンス向上、
長期的なエンゲージメント醸成をバランスよく

人事制度

目次

  1. 1. 人事制度とは

  2. 2. 人事制度の企画・設計

  3. 3. 等級制度

  4. 4. 評価制度

  5. 5. 報酬制度

人事制度とは

従業員が能力を発揮し、成果を挙げるための仕組み

「人事制度」と聞くと、そもそも「人事」という言葉が指す範囲が広いため、輪郭がつかみづらいかもしれません。 

人事制度とは、従業員の処遇に関するルール・仕組み全般のことを指します。労働契約や就業規則などで定めるルール・決め事は、会社と従業員との間の雇用関係を形づくるためのものであり、基盤となる労働法令との関係性が深いものです。

それに対して人事制度は労働法令との関係が薄く、各社が自由に決定するルール・仕組みということになります。例えば給与については、法律で決められているのは給与の支払い方・期日や最低賃金だけであり、それ以外のこと、給与の決め方やその額などのルールは、それぞれの会社が決めるものです。そうした、法律で決められた大きな枠内でそれぞれの会社が自由に決めるべきルール・仕組みを人事制度と呼びます。

では、何のために人事制度を設けるのでしょうか。その目的は、従業員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるような環境を整え、また従業員が効果的に成果を挙げようとするインセンティブを設計し、成果に応じて適正な処遇をすることにあります。

処遇とは、具体的にいえば昇給・昇進、希望するポジションへの配属、福利厚生など従業員にとっての便益のことです。「より高い成果を出せば、より大きな便益が期待できる」体系をつくることによって、従業員がパフォーマンスを発揮し、仕事を通じて成長し続けるサイクルを構築することが人事制度の大きな役割だといえます。

人事制度の企画・設計

人の心の機微を理解し「公正な」人事制度を設計する

労働時間などの働き方に関するルールを含んで人事制度という場合もありますが、基本的には「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの仕組みで構成されます。

人事制度には、その会社の経営方針や人の活用に対する考え方・理念が色濃く反映されます。「年功制(年功主義)」や「能力主義」「成果主義」といわれるものも、その実体は人事制度が体現するものです。

そのような人事制度の方向性を決定づけるのは、処遇を決める際の「評価基準」をどこに置くかです。「年齢」に基準を置けば年功的な人事制度になりますし、「成果」に重きを置けば成果主義的に、「仕事」を基準にすれば職能主義的な体系になるでしょう。そうした体系の違いによって、評価と処遇が大きく変わってきます。

人事制度とその元となる考え方は、その会社の文化や風土にも影響を及ぼすため、人事制度の企画・設計を行う場合は、まずその重要性を十分に理解する必要があります。

前段で「従業員がパフォーマンスを発揮し、仕事を通じて成長し続けるサイクルを構築する」ことが人事制度の役割であると述べましたが、このサイクルが上手く回り続けるようにするには、従業員個人、あるいは集団として見た時の「人」の心理の機微についてよく理解していなければなりません。

ちょっとした設計の違いで、「あの人が高く評価されたのに、同じような働きをした自分は評価されない」といった感情を生みかねないからです。一つ一つは小さくても、そうした負の感情は従業員のモチベーション低下につながり、生産性低下や離職増につながりかねません。

誰から見ても公正な評価制度をつくり上げるのは難しいかもしれませんが、少なくとも、なぜそのような評価になるのか、基礎となる考え方を「説明できる」制度設計を心がけることが必要です。


等級制度

処遇を決める際の基準となる「等級」

等級制度とは、仕事の能力レベルや職務の別に対して「等級」を定め、その等級に基づいて従業員の職位や給与を決定するための仕組みです。併せて、上の等級に昇格するために必要な条件も等級制度で定めます。資格制度、職階制度などとも呼ばれることもあります。

等級制度を設けることによる効果はさまざまなものが考えられますが、最も大きいのは、処遇を決める上での評価基準が明確になり、従業員の人事制度・処遇に対する納得感が高まることが挙げられるでしょう。さらに、発揮すべき能力や役割を示すことで、組織運営の効率化にもつながります。

また、「この等級に上がるにはどのような能力や経験が必要か」が明確になるため、従業員が、仕事への取り組み方やスキルアップの方向性、キャリアパスを自分自身で考えられるようになります。結果として、従業員の成長を促すことになるでしょう。


評価制度

評価制度をもって従業員に期待することを伝える

評価制度とは、従業員が仕事でどれだけ能力を発揮したか、勤務態度、挙げた成果を評価するための仕組みであり、これに基づいて人事考課・査定を行います。また、人事考課の方法も評価制度で規定されます。従業員の働きぶりや成果の評価に応じて、報酬(給与・賞与)が決まったり、等級が昇格したりします。

評価制度を設けることの目的の一つには、従業員に評価の結果をフィードバックすることによって、本人の能力開発を促すことがあります。また、人事考課により従業員一人ひとりの能力や働きぶりを把握して、配置・異動の検討材料にする意味合いもあります。

成果を重く評価するのか、それとも成果にかかわらず仕事で発揮した能力を評価するのか、あるいは勤務態度を見るのかなど、何に重きを置いて評価するかによって、人事制度の方向性が決まってきます。

さらに、評価制度は、会社が従業員に「何を期待しているか」「何を重く見ているか」を伝える仕組みだともいえます。「何を、どのように評価するのか」を明確化することによって、従業員はよりよい評価を得るために自ら考えて行動するからです。

評価制度の設計は、従業員から見た場合の「会社・人事の公正さ」に最も大きく関わる部分であるため非常に重要な制度です。人事考課は人事ではなく現場の各部部門の管理者が行うため、人によって評価が大きく異なることのないよう、評価基準のすり合わせを人事が主導することも必要です。


報酬制度

報酬は従業員にとって重要な糧であることを理解する

報酬制度は、等級制度で定めた等級、評価制度によって決まった評価結果によって、月例給与、諸手当、賞与、退職金・企業年金、福利厚生など、労働の対価として会社から従業員に支払うものを規定する仕組みです。

報酬、すなわち人件費は、会社のコストの大きな部分を占めるものである一方、従業員にとっては生活を維持するための重要な収入源でもあります。会社・従業員双方にとって最も重要なことですから、人事担当者には自社の報酬制度をしっかり理解して、正しく運用していくことが求められます。
報酬については、「給与・社保・福利厚生」カテゴリでより詳しく解説します


まとめ

人事制度は、組織が経営目標に向かって上手く回り、成長していくためのサイクルを生む仕組みです。しかし、組織を構成するのは人であり、人には感情があります。そうした心理的側面を軽視し、従業員を単なる労働力の提供者と捉えて人事制度を設計すると、サイクルの破綻を招きかねません。制度設計においては、短期的にパフォーマンスを挙げるという視点だけでなく、長期的視点でエンゲージメントの高い従業員によって構成される組織づくりを意識することが大切です。


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この記事を書いた人

hutas編集部

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